新規アプリ開発はとてもワクワクするプロセスです。新しい技術やプラットフォームを使っているかもしれませんし、お客様に全く新しい体験を提供するようなアプリケーションかもしれません。しかし徐々にエラーが起きやすくメンテナンス性の悪いコードを書いていってしまいがちです。そうなるとプロセスは遅れ、何度も退屈な作業に時間を取られることになります。
アプリケーション開発を加速し、革新を生み出し、開発コストを削減し、進化する顧客のニーズに迅速に対応するソリューションを展開できたらと誰もが夢見ています。それも、高品質な水準を維持しながらです。
それは決して夢物語ではありません。現代のローコードツールはそのような機能を提供しています。DXの時代において、インフラジスティックスの WYSIWYG App Builder™ のようなプラットフォームは、デザインから開発までの全過程をスムーズに進め、その影響を会社の投資利益に対して客観的に定義することができる、変革的なツールとして登場しています。
私たちはこれまでにも何度もエンタープライズ向けローコードプラットフォームの利点について議論してきましたが、本記事では、これらの技術が具体的にどのようにして10倍の投資利益を達成し、ソフトウェア開発を根本的に変え、革新を促進するのか、という点に焦点を当てていきたいと思います。
- ローコードツールが加速するROI - ビジネスにおけるゲームチェンジャー
- ローコードツールのROIを測定するための7つの指標
- App Builder が提供する、10倍の ROI を可能にする機能セット
- App Builder が ROI 向上を実現する例
ローコードツールが加速するROI - ビジネスにおけるゲームチェンジャー
組織は常に革新的な方法を探し求め、市場の変化に素早く対応し、技術投資から最大の価値を引き出そうとしています。一方でそれと同時に、日々発生する課題や業務にも対応を続けなければいけません。例えば、私たちが最近行った調査では以下のような結果が出ています。
- 8割の開発チームにはデザイナーが所属しておらず、デザインリソースが不足しています。
- 開発チームの60%はプロトタイピングツールを使用していません。
- 85%の開発者が画面レイアウトとHTMLやCSSの作業が最大の課題であり、時間の無駄であると言っています。これは、開発時間の大部分が開発者にとってつまらない、または不得意なタスクに費やされていることを意味します。
- ほとんどの開発者が、彼らの仕事の範囲のうちの10%もローコードツールを利用していません。
これは懸念すべき状況ですが、ローコードツールはこの状況を改善することができます。コストに見合う価値を提供しながら、ビジネスがソフトウェア開発の主要な課題をより簡単に対処できるようにし、より大きな投資利益を得ることを可能にします。
ローコードツールのROIを測定するための7つの指標
この記事を見ている方は少なからずローコードの可能性に気づいていると思います。競争力を保ち、より生産的になるために、何らかの形でこの流れに乗る必要があります。しかし、まずはローコードのアプリケーション開発のROIをどのようにして定量化するか、という問題から始めたいと思います。コスト削減の計算から、ローコードプラットフォームの導入によって達成された自動化の影響の測定まで、ここではローコードツールのROIを測定するための7つの指標を紹介します。
1. IT部門の支出
IT支出に関連するベンチマーク指標は、ローコードによるアプリケーション開発のROIを定量化するのに最適な方法の一つです。ローコードツールの導入と使用が支出面でビジネスにどのような影響を与えるかを把握するために、以下の点を確認してください。
- 開発時間の削減によって削減されたコスト。
- より多くの技術を必要とする手作業のコーディングによる(ハイコード)アプリ開発と比較した場合のメンテナンスコストの減少量。
- ローコードプラットフォームを使用する場合と使用しない場合で、アプリや画面を構築するために費やしたコストと時間の比較。
- 追加の機能や改善がより高価/安価になるかどうか。
- 技術的負債を測定し、リファクタリングや再開発の必要性が減少するか、逆に増加するか。
- ローコードアプリのライフサイクル全体での所有コストの合計。これには開発、メンテナンス、運用コストが含まれます。
- 手動プロセスを自動化することにより節約された時間とコスト。
2. 市場投入までの時間
現代の急速に変化するビジネス環境では、新しいソフトウェア製品や機能を市場に誰よりも早く投入することが、より早い収益生成と大きな競争優位を獲得することにつながります。以下の点を確認してください。
- ローコードを使用して新しいアプリを開発し、デプロイするまでの時間を測定し、それを手作業のコーディングと比較します。プロジェクトのタイムラインはどの程度短縮されますか?
- ITチームが新しいローコードソリューションの導入以降、どの程度のリクエストを問題なく達成できているか、導入以前との対応速度の面から比較します。
- ITチームがローコードプラットフォームだけを使用して、最小限の実行可能な製品(MVP - minimum viable product)を必要な機能とともにより簡単に構築できるかどうかを確認します。
3. 生産性
ローコードプラットフォームは通常、事前に定義されたテンプレートや再利用可能なコンポーネントを提供します。これにより開発が加速し、生産性が向上します。以下の点を確認してください。
- ローコードを使用して開発者/チームごとに開発されたアプリの数を、手作業のコーディングと比較します。
- 市民開発者も考慮に入れ、経験豊富な開発者の助けなしにITのバックログを完了したり、よくあるタスクをより簡単に処理できるかどうかを測定します。
- 重要なタスクにかかる時間がどれだけ短縮され、どれだけの手動タスクが自動化されるかを評価します。
- 開発チームがどれだけ多くの作業を完了できるかを測定します。
- プロジェクトを期限内に完了するために必要な人工(デザイナー、開発者など)を計算します。
- ローコードで作成されたアプリと手作業のコーディングで作成されたアプリのバグや問題の数と重大性を監視します。
- ワークフローの自動化、リソースの割り当て、タスクの完了時間の改善を測定します。
4. 採用数とユーザー数
ローコードを通じてデジタルトランスフォーメーションを目指すことは重要な目的の一つですが、ビジネス目標にあわせ、チームの能力を補完するツールを慎重に選ぶことは別の問題です。以下の点を確認してください。
- ローコードツールを積極的に使用する人々の数を追跡します。それは異なる専門分野や背景を持つメンバーが集まって作られるチームでも有用ですか?
- デザイナー、開発者、ステークホルダー、PMなど様々なロールにとって有効であるか確認します。
- どれだけの頻発タスクを排除し、チーム全体がそれぞれ異なる目的で使用可能かどうかを評価します。
- プラットフォームが既存の技術と統合し、どれだけのレガシーシステムを排除することができるかを確認します。
- ローコードで作成されたアプリと、他の技術や追加のデータソースで開発された別のアプリを統合するために必要な時間と労力を測定します。
- 複数の人々が使用するときに、増加したワークロードと同時により多くのプロジェクトを処理するためにローコードツールがスケールすることができるか評価します。
5. IT部門のアウトプット
ITチームがより複雑で、ミッションクリティカルなプロジェクトに取り組む場合、以下のような測定も有効です。以下の点を確認してください。
- アプリの作成開始から完成までの時間を見積もります。
- エラーの減少レベルと、バグ修正やメンテナンスに関連するコストを見積もります。
- ローコードプラットフォームの有無に関わらず、古いシステムの維持と更新に費やした時間をし確認ます。
- 大規模なエンタープライズレベルのアプリケーションの開発作業がどれだけ完了しているかを確認します。その開発にどれだけの時間を費やしましたか?
- ローコードで構築されたUIの影響を定量化し、ユーザーエのンゲージメントなどの要素を考慮します。
6. デジタルトランスフォーメーションのベンチマーク
デジタルトランスフォーメーションのベンチマークは、企業がデジタルトランスフォーメーションの進捗を評価し、測定するために使用する主要業績指標(KPI)です。以下の点を確認してください。
- ローコードツールを導入した場合のロードマップを作成し、導入しない場合のロードマップと比較します。
- ローコード導入前後のパフォーマンスを測定します。
- ローコードを通じて顧客満足度を向上させることが主要な目標である場合、顧客維持率などの指標を追跡します。
- ローコード導入前後の期間に達成された販売成長、コンバージョン率、平均取引額を確認します。
7. ストレス要因
チームがローコードの導入にどのように反応するかストレス要因として計測します。それはエンゲージメントと密接に関連します。以下の点を確認してください。
- ユーザーからフィードバックを集めて、現在のローコード戦略とツールに対する彼らの満足度を評価します。
- 人々がローコードプラットフォームの導入前後で仕事が容易になったか、それともより複雑になったかを確認します。
- 従業員のエンゲージメントと参加レベルを計算します。
- チームが仕事のペース、アウトプット、開発時間、ローコードの機能などに満足しているかどうかを評価します。
- 彼らが反復的なタスク要因が減少することでより多くのプロジェクトを引き受ける意欲があるか、それとも依然として少数のタスクに、より多くの手作業によるコーディング作業を好む傾向があるかどうかを確認します。
ROIの定量化は、ユーザーエクスペリエンスの変化のような、監視や測定が難しい効果を含む場合、複雑な課題となることがあります。しかし、ビジネスが明確な目標を持ち、その課題を把握している場合、ROI分析は貴重な洞察を提供することができます。
App Builder が提供する、10倍の ROI を可能にする機能セット
App Builder は、クラウドベースのローコードツールで、開発チームがこれまで以上に速くウェブアプリを開発する手助けをします。WYSIWYG(What You See Is What You Get)ツールボックス、ドラッグ&ドロップで使用できるエンタープライズレベルのUIコンポーネント、コードプレビューとコード生成機能、デザインシステムを通じて、手作業でコードを書くよりもはるかに速く、目指す成果を達成することができます。具体的には、最大80%の開発速度改善を実現します。
App Builder はどのように機能し、すべてのプロセスを最適化するのでしょうか。Figma や Sketch で作成された画面を App Builder に簡単にインポートでき、ゼロから始める場合と比較して多くの時間を節約できると考えてみてください。そして、デザインチームが行った操作を、App Builder自体がネイティブに理解し、すぐに実行可能なコードに変換することでアプリ開発を加速することができます。機能セットを以下に示します。
- Angular、Blazor、Web Components 対応のコード生成
- Visual Studio のようななUIツールボックス
- データグリッド、ツリーグリッド、ピボットグリッド
- チャート
- セルの表示/編集テンプレート
- Open API、JSONサポートによるデータバインディング
- レスポンシブデザイン(RWD - responsive web design)
- グリッドのCRUD操作
- ルーティングとナビゲーション
- テーマとブランディング
- アプリスターターキット
- アプリテンプレート
- 画面テンプレート
- デザインシステム
- Figma と Sketch のインポート
- Reveal BIコンポーネント
さらに掘り下げて、なぜ App Builder が ROI を最大化を実現するために重要なのかを見ていきましょう。
最大の効率化を達成する
- 新たな人材を雇用することなく既存の人員で、ビジネスが必要とするアプリを迅速に提供することが可能です。
- より多くのプログラマーや市民開発者がアプリケーションを構築し、貢献できるようにします。
- 開発者が使い慣れた操作性の開発ツールキット、視覚的なユーザーインターフェース、再利用可能なコンポーネントなど、ローコードの特性を活用して開発者の生産性を向上させることができます。
- 共通のプラットフォームを使用してプロトタイプをデザインし、そのデザインを簡単にクリーンで実行可能なコードに変換することが出来ます。
より大規模な開発を可能にする
- プロセス自動化アプリからミッションクリティカルなシステムの近代化まで、幅広いソリューションの開発をサポートします。これにより、莫大なコストをかけることなく多様な問題を解決できます。
- 魅力的なウェブ体験を通じてエンドユーザーに継続的な価値を提供します。
- クラウドネイティブアーキテクチャ上で簡単にスケールアップできる、保守性の高いソリューションを構築します。
新しい開発の形を作り出す
- チーム間のサイロを取り壊して、ビジネスとITの強力なパートナーシップを育てます。
- 異なるチームに一元的な情報源を提供し、チームと一緒に作業するためのワークスペースを作成し、他の人とアプリケーションを共有したり、新しいチームメンバーを招待することが出来ます。
- プロジェクトをゼロから始めるか、既存のサンプルを使用して学ぶか、それをツール内のプロパティエディタで修正して活用するか、様々なアプローチを提供します。
- ビジネスと顧客のニーズの変化に迅速に対応するためにアジャイルを促進します。
- アプリケーションのUI、ワークフロー、データモデルを視覚的に定義する環境を提供します。
- データ構造とデータバインディングを自動的に処理することができます。
これらすべての要素が整っているとき、ローコードツールはROIを最大化するための最適な選択肢となります。
App Builder が ROI 向上を実現する例
例えば、あなたが様々な機能を持つ本格的なグリッドを Blazor で構築し、データを取得してバインディングまで行う必要があると考えてみてください。これは非常に具体的な例ですが、App Builder はこのような実装を手作業によるコーディングを介さず行うことが可能です。専門のデザインチームやソフトウェア開発者の連携、POC、コーディングなど、通常は数ヶ月や数週間かかるようなプロセスが大幅に短縮されます。
ではそのプロセスとは具体的にどのようなものでしょうか。
まず、事前に定義されたレイアウトから最適なものを選びます。次に、Excel が持つようなフィルタリング機能が組み込まれたグリッドを画面にドラッグアンドドロップします。マスターディティールの実装を設定することもできます。グリッドは非常に強力な機能セットを持っていて、機能セクションのプラスアイコンをクリックするだけで、 ページング、行アクション、行選択、グルーピング、移動など、様々な機能を利用可能とすることができます。
実際にどのように見えるのかを確認したい場合は、プレビューボタンをクリックするだけで、実際のアプリのように操作可能なグリッドが表示されます。さらにBlazorのコードを生成し、ローカルで実行することができます。
同じグリッド定義を持つアプリケーションを、Angular のコードとして再生成することもできます。右上のボタンから希望のフレームワークを選択するだけです。これには、すべてのデータバインディング、プロパティ設定などが含まれ、必要なTypeScriptとCSSファイルも生成されます。
常にアプリ全体をコード生成する必要はありません。たとえば、既存の画面がすでに、グリッドの追加実装だけが必要な場合、必要なコードだけをコピー&ペーストで利用することができます。グリッドのドキュメントを0から理解して手作業でコーディングする必要はありません。
すべてが数週間ではなく数分で行われ、App Builder がデザイン開発サイクルを一新します。その影響は明白で、収益の増加、経費の削減、効率の向上につながります。
実際に App Builder がどのように動作するかすぐにチェックしたい場合は、インフラジスティックスの開発ツールSVP、Jason Beres によるチュートリアルビデオをご覧ください。また、日本人スタッフによるデモも可能です。お気軽にお問い合わせください。