
こんにちは、Infragisticsソリューションコンサルタントの田上です。
Windows FormsやWPFなどのデスクトップアプリは、企業の業務で長年活躍してきました。しかし近年では、Webアプリやクラウド対応が求められるケースが増え、デスクトップアプリの刷新は避けられない課題となっているプロジェクトも少なくありません。
日本市場のITシステム業界では、プロジェクトマネージャーの多くが「コストを掛けずにWebリニューアルできないか?」と頭を悩ませています。
本記事では、以下の2つの基本コンセプトを軸に、App Builderを活用してデスクトップアプリからWebアプリへの移行をスムーズに進める方法を詳しく紹介します。
✅ 2つの基本コンセプト
- App Builder - AIプロンプト機能によるUIデザイン自動生成
- App Builder - Ignite UI コード自動生成機能による高品質なUIライブラリ&プロダクションコード
デザインからコードまでを一気通貫で効率化することで、短期間・低コストでWeb移行を実現できます。
- ✅ 2つの基本コンセプト
- 1. なぜ今、デスクトップアプリのWeb移行が必要なのか
- 2. なぜApp Builderが必要なのか:Web移行を加速する理由
- 3. App Builderの基本コンセプト
- 4. App Builderで選べる移行先フレームワークの比較
- 5. App Builderと連携できるバックエンドフレームワークとの親和性
- 6. Ignite UIで保証される高品質UIとテスト工程削減
- 7. デザイン生成+コード自動生成を実現するワークフロー
- 8. 関連ブログ
- 9. まとめ
1. なぜ今、デスクトップアプリのWeb移行が必要なのか
🌐 もっと多様なデバイス・クラウド時代に対応するために
Windows FormsやWPFなどのデスクトップアプリは、企業の業務で長年活躍してきました。しかし、近年のビジネス環境は多様なデバイスでの利用やクラウド連携が当たり前になりつつあり、従来のPC専用アプリでは対応が難しくなっています。
Webアプリに移行することで、ブラウザさえあればPC・スマホ・タブレットの全てで同じUIを提供でき、業務効率の向上やユーザー体験の改善につながります。また、クラウド連携によりリモートワークやデータ共有の柔軟性も高まり、組織全体の生産性向上に寄与します。さらに、セキュリティ面でも、最新のブラウザやクラウド環境で運用することで、OS依存のリスクや古いフレームワークの脆弱性を回避できます。
こうした理由から、Web移行は単なるUI刷新ではなく、企業のIT基盤を次世代に適応させる戦略的な選択と言えます。
📱💻 マルチデバイス対応の難しさ
デスクトップアプリはPC専用であり、スマートフォンやタブレットへの対応には大規模な改修が必要です。このため、ユーザーの多様なデバイス環境に適応することが難しく、利便性が低下します。Webアプリケーションに移行することで、ブラウザが1つあればサービスを横展開できるメリットはとても大きいです。
🔒 Microsoftサポート終了リスク
古い.NET FrameworkやWindows依存のコードは、Microsoftのサポート終了に伴い、開発者の不足やメンテナンスコストの増加を招きます。特に、Windows 10以降のバージョンでは、従来のデスクトップアプリケーションの互換性が問題となり、セキュリティや保守面でのリスクが高まっています。
- 【2025年】.NET Framework 3.5サポート終了に備える!Windows Forms/WPF/ASP.NET Web Forms開発者向け移行ガイド
- 【2025年10月14日】 Windows 10 サポート終了!? Infragistics 製品 バージョンアップガイド
☁ クラウド連携・SaaS化への対応
デスクトップアプリはクラウド連携やSaaS化が難しく、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進において障害となります。特に、リモートワークやデータ共有のニーズが高まる中で、クラウド対応が不可欠となっています。
📊 関連データと政策動向
📉 「2025年の崖」による経済損失
日本政府は、2025年以降に既存のレガシーシステムが抱える課題により、年間最大12兆円の経済損失が発生する可能性があると警告しています。
この「2025年の崖」とは、老朽化したITシステムやWindowsサポート終了などに伴う、保守コストの増加や業務停止リスクを指す言葉です。多くの企業が未だにWindows FormsやWPFを中心としたデスクトップアプリに依存しているため、システム刷新やWeb化の遅れが直接的な経済的損失につながるとされています。
「2025年の崖」に関する報告 – The Tokyo Foundation
🏛 デジタル庁の設立とDX推進
日本政府は、デジタル化を推進するためにデジタル庁を新たに設立しました。これにより、行政サービスのデジタル化が進むだけでなく、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)も加速しています。
下記のリンク先では、国が決定したさまざまなシステム化計画を確認でき、これからの日本社会における未来のIT環境を具体的に把握することができます。
2. なぜApp Builderが必要なのか:Web移行を加速する理由
前述のとおり、デスクトップアプリにはマルチデバイス対応の難しさ、Microsoftサポート終了リスク、クラウド連携の制約といった課題があります。これらの課題を解決し、短期間・低コストでWeb化を実現するには、従来の手作業による画面改修やコード書き換えだけでは非常に非効率です。
そこで登場するのが App Builder です。
💡 1つのデザインから複数フレームワーク対応
従来のWeb移行では、スマホ向けUIとPC向けUIを別々に設計・コーディングする必要がありました。App Builderでは、1つのデザインをもとにReact、Angular、Blazor、Web Componentsの4つのフレームワーク向けにコード自動生成できるため、デザインの二重管理が不要になります。
上流工程を見直そう!デザイン工数の2重管理を解消するApp Builder - インフラジスティックス・ジャパン株式会社Blog
🔗 バックエンド資産を最大限活用可能
既存システムのデータベースやビジネスロジックを捨てることなく、既存バックエンドフレームワークとの親和性が高いため、移行に伴うリスクを最小化できます。JavaやPHP、.NET、Python、Rubyなど幅広いバックエンドと接続可能です。
✅ 高品質UIとテスト工程削減
App Builderで生成されるコードは Ignite UIライブラリ をベースとしているため、UI部品はすべて動作保証済み。これにより、デザイン崩れやバグに対するテスト工数を大幅に削減でき、開発スピードと品質を同時に向上させることができます。
🌐 DX推進・クラウド連携の容易化
App BuilderはWeb標準技術を活用してコードを自動生成するため、クラウドやSaaSとの連携も容易です。リモートワーク環境でもすぐに利用可能なWebアプリとして展開できる点も、DXを推進するうえで大きなメリットです。
⚡ 要点まとめ
- デザインからコードまで一気通貫で開発プロセスを短縮できる
- 4つの主要フロントエンドフレームワークに対応できる
- 既存バックエンドとAPI連携できる
- Ignite UIで高品質UIを保証済み、テスト工数を削減できる
- クラウド対応やDX推進を促進できる
3. App Builderの基本コンセプト
App Builderの強みは、次の2つの機能に集約されます。
① AIプロンプトによるUIデザインの自動生成
自然言語で画面レイアウトやコンポーネント配置を指示すると、AIが設計図を自動生成します。 これにより、デザイン作業の初期段階を大幅に効率化できます。
② デザインからコード自動生成(Infragistics UIライブラリベース)
設計されたUIは、React、Angular、Blazor、Web Components 向けの実コードに変換可能です。 生成されるコードは、Infragisticsの高品質UIコンポーネントを活用しており、動作保証やアクセシビリティも確保されています。
この組み合わせにより、デザインからコードまで一気通貫で効率化できる点が最大の特徴です。
4. App Builderで選べる移行先フレームワークの比較
Web化において、フロントエンドの選択肢はプロジェクト成功の鍵です。App Builderは、1つのデザインから4つの主要フレームワーク向けにコード自動生成可能です。
| フレームワーク | 特徴 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| React | コンポーネント再利用性が高く、SPA構築に最適 | 大規模Webアプリに強み、エコシステム豊富 | 学習コストあり |
| Angular | 完全フレームワーク、型安全な開発が可能 | 大規模チーム開発向き | 初期学習コスト高 |
| Blazor | C#でフロントエンド開発可能 | .NET開発者に親和性高い | ファイルサイズが大きくなる場合あり |
| Web Components | フレームワーク非依存のUI部品作成 | 柔軟な統合、将来性高 | 初期セットアップがやや複雑 |
ポイント: App Builderでは、スマホ版・PC版のUIを二重管理せず1つのデザインから生成できるため、開発負荷を大幅に軽減できます。
5. App Builderと連携できるバックエンドフレームワークとの親和性
フロントエンドの移行だけでなく、既存のバックエンドとの連携も重要です。App Builderは多様なバックエンドフレームワークとの親和性を持ち、既存のビジネスロジックやデータ資産を最大限活かせます。
| バックエンドフレームワーク | 親和性のポイント | 備考 |
|---|---|---|
| Java (Spring, Java EE) | REST APIやSOAPサービスで既存ロジック再利用可能 | 大規模企業で多く採用 |
| PHP (CakePHP) | MVC構造を保持しつつデータ連携容易 | 中小企業で人気 |
| PHP (FuelPHP) | 軽量フレームワークでAPI接続容易 | 小規模開発向け |
| PHP (Laravel) | ORMや認証機能を活用した効率的連携 | PHP最新トレンド |
| .NET Framework / .NET Core | Web APIやSignalRと連携可能 | Windows資産活用 |
| Python (Django, Flask) | REST API生成が容易、機械学習連携可能 | データサイエンス系に強み |
| Ruby (Ruby on Rails) | ActiveRecordでデータ連携簡単 | スタートアップ・小規模プロジェクト向け |
| Node.js (Express, NestJS) | 非同期処理やリアルタイム機能との相性良好 | モダンWebサービスに最適 |
| Go (Gin, Echo) | 高速APIサーバーとして接続可能 | 高パフォーマンス要求向け |
| その他 REST/GraphQL API | 標準プロトコルで広く接続可能 | 特殊システムやクラウドサービス連携に対応 |
ポイント: App Builderを使えば、既存のバックエンド資産を活かしながら、4つのフロントエンドフレームワークに自動生成可能です。 これにより、従来の移行で懸念される「バックエンド接続調整」や「API設計の二重化」を最小化できます。
6. Ignite UIで保証される高品質UIとテスト工程削減
App Builderで生成されるUIコードは、Ignite UIライブラリをベースにしているため、以下のメリットがあります。
- 品質保証済みコンポーネント:ボタン、グリッド、チャート、フォームなどすべてのUI部品が実運用で動作することを保証
- アクセシビリティ対応済み
- テスト工数の削減:高品質コンポーネントを使用することで、デザイン崩れやバグによる追加テストを大幅に削減
Ignite UIを活用することで、開発者はAI生成やデザイン修正に悩まされず、安心してコードをプロジェクトに組み込める環境が整います。
7. デザイン生成+コード自動生成を実現するワークフロー
App Builderを活用した移行の基本ワークフローは以下の通りです。
- 既存UIを整理 レガシー画面を分析し、共通化可能なコンポーネントを抽出
- UI設計 AIプロンプトやApp Builderで画面デザインを作成
- バックエンド連携を設計 REST/GraphQLや既存フレームワークと連携
- フレームワーク選択 React、Angular、Blazor、Web Components のいずれかを選択
- App BuilderでUI生成+コード自動生成 UIデザインから本番環境へデプロイするコードを自動生成
- Ignite UIで高品質保証 テスト工程を削減しつつ、動作保証済みのUIを活用

8. 関連ブログ
9. まとめ
デスクトップアプリからWebアプリへの移行は、単なるフロントエンド刷新ではなく、既存資産を最大限活用しつつ効率的に開発することが鍵です。
- App Builderは、AIプロンプトによるデザイン生成+コード自動生成で作業を効率化
- 4つのフロントエンドフレームワークに対応し、スマホ・PC共通デザインで一元管理可能
- Ignite UIを活用することで、品質保証済みUIでテスト工数を大幅削減
- バックエンドフレームワークとの高い親和性で、既存資産をそのまま活用可能
この組み合わせにより、レガシーアプリを安全かつ効率的にWeb化でき、開発スピード・品質・コスト安定性のすべてを両立できます。
いま重要なのは、現場のシステム担当者の手によって「まず1画面からWeb化する」ことで道が開けて行きます。現場のシステム状況に応じて、早めの移行・バージョンアップ計画を検討しましょう!