
こんにちは、Infragisticsソリューションコンサルタントの田上です。
本記事では、Webアプリ開発において注目され直されている「Web Components」と、デザインからコードを自動生成できる「App Builder」の組み合わせによる価値を解説します。
今、多くの企業が「既存Web資産の刷新」や将来の「フレームワーク選定」に悩んでいます。実際、技術トレンドに偏ったフレームワークを選んでしてしまうことで、長期的なアップデートの追従コストの負担や、デザインと実装の乖離による工数の肥大化に悩んでいる声も少なくありません。
この課題を解決し、5~10年先も安定して使えるWeb資産を構築できるのが、「App Builder × Web Components」というアプローチ方法です。
本記事では、こうした背景と具体的な導入メリットを詳しく解説します。
- 1. 冒頭 ― こんなお悩みはありませんか?
- 2. 背景 ― なぜ今「Web Components」なのか
- 3. React / Blazor / Angular ― 従来の選択肢とその課題
- 4. Web Components の特長と強み
- 5. App Builder が解決すること
- 6. 利用シナリオ
- 7. App Builder × Web Components が最適解である理由
1. 冒頭 ― こんなお悩みはありませんか?
Webアプリ開発の現場で、次のような課題に直面していませんか?
- 既に Java Spring や PHP で構築したWebアプリケーションを保有している場合など、これから選択するフレームワーク技術が将来の負債にならないか不安がある
- Windows Forms や WPF で築いてきた資産ベースにWeb化したいが、React / Blazor / Angular のような最新フレームワークはチームに馴染まず導入ハードルが高い。
- ASP.NET Web Forms から最新の技術トレンドのフレームワークへ移行することが本当に正しいのか?もっとクラシックで標準的なフレームワークを選択したい。
- Webの技術トレンドが数年ごとに変化する中で、「いま選ぶ技術が5年後も正しいのか?」という意思決定に迷っている。
こうした悩みを抱える企業にこそ、「App Builder × Web Components」 という選択肢が大きな価値を発揮します。
2. 背景 ― なぜ今「Web Components」なのか
Web開発の歴史を振り返ると、数年ごとに「主役」が変わってきました。
- jQuery 時代:DOM操作を効率化し、クロスブラウザ対応を容易にした。
- Angular/React/Vue 時代:コンポーネント志向のフレームワークが普及し、大規模開発に対応。
- Blazor:C# 開発者がWebに進出できる新しい道を提示。
しかし、その一方で、「フレームワーク依存」 という問題が常に存在します。あるフレームワークを採用すると、そのライフサイクル・アップデートポリシーに縛られ、将来の移行コストが膨大になることも少なくありません。
そこで再び注目されているのが Web Components です。Web Components は、W3C標準仕様 としてブラウザにネイティブサポートされており、特定フレームワークに依存しません。
つまり「React を選ぶべきか? Angular にすべきか?」という迷いそのものを解消し、5~10年先でも動き続ける堅牢なUI資産を構築できるのです。

3. React / Blazor / Angular ― 従来の選択肢とその課題
もちろん、React / Blazor / Angular は強力なフレームワークです。現代における技術トレンドのフレームワークであり、SIer企業やスタートアップ企業では多くの導入が進んでいることも事実です。
しかし、次のような課題も見逃せません。
- 学習コストが高い:フレームワーク固有の記法やライフサイクルを理解する必要がある。
- 将来の移行リスク:フレームワーク自体のバージョンアップが多く、追随するコストが無視できない。
- バックエンドとの連携:Java Spring や PHP で構築されたバックエンドと、親和性の高いクラシックなWeb技術で構成したい。
特に、スキルの高いエンジニアを十分に確保でき、さらに育成することができる企業であれば、問題なく最新フレームワーク(React / Blazor / Angular)を導入すべきですが、全ての企業がエンジニアのスキルを最新化できるわけではありません。
また、流行りの技術トレンドを追従したフレームワークで構築したシステムも、長期運用されなければ本来の資産価値は減少します。技術トレンドを取り入れたの流行りのシステムだからといって、市場のニーズを満たし、シェアを拡大できるとは限りません。
一方で、ASP.NET Web Forms や PHP、Java といったクラシックなシステムは未だに稼働していますし、長期に渡って「利益を生み出す資産価値のあるWebアプリケーション」が保守され続けています。
このように、既存資産を活かしつつフロントエンドを刷新したい企業や、新規Webに挑戦したいWindows開発者にとっては、長期運用面での課題が大きなポイントになることも多く、結果的に技術トレンドに左右されにくく、ブラウザがネイティブにサポートしている「Web Components」を採用したという声や導入事例は、とても多くなっています。
4. Web Components の特長と強み
Web Components が持つ強みを整理すると、以下の通りです。
1. フレームワーク非依存
- Java / Spring/ PHP / Vue / Angular / React など、どのフレームワークからでも利用可能であること。
- フレームワークなしのネイティブの HTML / JavaScript 環境でも動作可能であること。
2. ブラウザネイティブの標準仕様
- Shadow DOM / Custom Elements / HTML Templates といった仕組みがブラウザ標準化されている。
- 追加ライブラリ不要で長期安定性が高いこと。
3. 再利用性の高さ
- コンポーネント単位でカプセル化されるため、他プロジェクトへの転用が容易であること。
4. 長期運用に強い
- 特定ベンダーやコミュニティの盛衰といったトレンドに左右されにくい標準技術として継続利用可能。
総合的に再利用性が高く汎用的であり、技術トレンドに左右されにくい特徴があります。そのため、5~10年先もブラウザがネイティブにサポートされる「長期運用が前提の企業システム開発」 にこそフィットする特徴になっています。
5. App Builder が解決すること
さらに、ここで登場するのが App Builder というWebアプリケーション開発に特化したUIデザイナーです。App Builder 上で作成したUIデザインをもとに、BtoB業務アプリに必要な実稼働レベルのWeb Componentsコードを自動生成する強力なローコードツールです。
- デザインとコードの一元化:App Builder 上で製作したデザインを、そのままコード自動生成できる。
- ゼロからの学習不要:出力する Web Components の仕様を深く理解していなくても、即座に利用可能。
- 保守性の高いコード:自動生成されるコードはMVCを意識した設計で構成され、カスタマイズにも適応しやすい。
- フロントエンド人材不足を補う:デザイナーや非エンジニアでもプロトタイプから実稼働に近いコードを生み出すことができる。
つまり、Web Components の強みを最大限活かしつつ、開発効率を飛躍的に高めるのが App Builder の価値です。
5-1. App Builder でデザインしたWebアプリケーション
以下は App Builder で製作したデザインを Web Components でコード自動生成したサンプルです。
5-2. Web Components で自動生成されたコード一式
次に App Builder からコード自動生成したコードです。特徴的なのはBtoB業務レベルの、本番コードが設定ファイル、MVCを意識した設計(Model / Services / View に整理された構造化コード)としてファイル一式が生成されるところです。Web Components でコード出力する場合はネイティブの TypeScript で出力されます。

5-3. Web Components コードをビルド実行
自動生成したコードをビルド実行しています。NPMコマンドを実行するだけで、即座にWebアプリケーションを起動できます。
関連ブログ
App Builder のハンズオン記事はコチラです。
6. 利用シナリオ
① SIer × 既存Web資産(Java Spring / PHP)のシナリオに活用
- 既存のバックエンドを残して資産活用しつつ、フロントだけを刷新したい。
- Web Components ならフレームワークに依存しないため、バックエンドとの親和性が高い。
- App Builder で画面デザインから Web Components コードを自動生成し、即座に実装できる。
② Windows Forms / WPF からの移行のシナリオに活用
- C# や XAML 文化に馴染んだ開発者にとって、React や Angular の文法は高い壁がある。
- Web Components なら素のHTML/JSベースでコーディングが理解しやすい。
- App Builder がUI部分を自動生成するため、移行プロジェクトの学習コストを大幅削減できる。
7. App Builder × Web Components が最適解である理由
React/Blazor/Angular は非常に強力なフレームワークですが、コーディングへの理解や学習コストが高いと感じる開発者にとっては敷居が高いフレームワークとも言えます。
一方で、標準的にブラウザサポートされている Web Components は、とても多くの魅力を持っています。
Web Components の魅力
- 既存のWebバックエンド資産(PHP/Java Spring)と親和性が高い
- Windows開発の資産をWeb化する場合など、ベース技術としても安定している
- フレームワーク依存の不安を解消し、技術トレンドに左右されにくい
- App Builder のコード自動生成によって、開発効率と品質を同時に確保できる
- 結果的に大きな開発工数削減と品質向上が見込める可能性が高い
これからWebに挑戦する企業、既存資産を刷新する企業にとって、「App Builder × Web Components」の組み合わせは、非常にマッチしやすいプラットフォームになっています。
ぜひ、フレームワークをご検討中の皆さまには、Web Components × App Builder という依存性を回避できるアプローチ方法も、手段のひとつとしてご検討いただきたいと思っています。
👉 これからのWeb開発では、「上流工程から見直し、将来を見据えた技術選定」が不可欠です。App Builder とIgnite UI for Web Components を活用し、効率的かつ安定した開発プロセスへと進化させてみてはいかがでしょうか。
無料トライアルのご案内
こちらからトライアルへご参加できます。
無料相談会のご案内
専門コンサルタントが直接ご質問にお答えし、貴社に最適な移行戦略をご提案します。