
こんにちは、Infragisticsソリューションコンサルタントの田上です。
本記事では、ここ数年で急速に進むクラウド化・Web化の波に対して、日本企業がいまだにデスクトップアプリケーションを主軸としている現実を掘り下げます。
- Windows Forms や WPF の業務アプリをそのまま運用している
- Web化の必要性は理解しているが、実際に動けていない
──このような声を、私はお客様から日常的に聞きます。 なぜ日本企業では、Webアプリケーションへの移行がここまで進まないのでしょうか?
本記事では、国や公的機関のデータから見える背景、企業が抱える移行の壁、そしてその課題を根本的に解決できるApp Builderによるローコード戦略までを体系的に解説します。
- 1. 日本のWebアプリ化は世界に遅れを取っている
- 2. 「分かっているけど進まない」—Web化が停滞する本当の理由
- 3. 案件現場でよくある「Web化プロジェクトのつまずきポイント」
- 4. デスクトップとWebのアーキテクチャは「似て非なるもの」
- 5. App Builder は WPF/WinFormsからWebへの最短ルート
- 6. 経営視点で見た「App Builder導入のROI効果」
- 7. 「レガシーからの脱却」は技術ではなく「構造」で決まる
- 8. 関連ブログ
- 9. まとめ:Web化を「諦めない」ための現実的な選択
1. 日本のWebアプリ化は世界に遅れを取っている
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が2024年に発表した「ソフトウェア開発データ白書」によると、 日本国内で稼働している業務アプリケーションのうち、約6割がいまだにデスクトップアプリケーション(オンプレミス)として稼働しています。
さらに、総務省の「情報通信白書2024」では、WebベースのSaaS・クラウドサービスを活用している企業は全体の39.8%にとどまると報告されています。 欧米諸国ではこの割合が70〜80%に達していることを考えると、日本のWeb化の遅れは明らかです。
🧩 背景データ(要約)
- IPA「ソフトウェア開発データ白書2024」:国内企業の約60%がデスクトップアプリ中心
- 総務省「情報通信白書2024」:Web/SaaS活用企業は39.8%
- 経済産業省「DXレポート2」:レガシーシステムが“技術的負債”として残存するリスクを指摘
つまり、日本の多くの企業は「Web化したい」と言いながら、実際にはまだローカル実行型アプリ(WinForms・WPFなど)を手放せていないのです。
2. 「分かっているけど進まない」—Web化が停滞する本当の理由
多くの経営者や開発部門は、「クラウドやWebに移行すべき」という意識は持っています。 しかし、実際のプロジェクトでは次のような“壁”が立ちはだかります。
❶ 移行コストの壁
- 既存システムの画面数・機能が多く、Web化に伴う再構築コストが膨大
- クラウド基盤(AWS・Azure・GCP)の利用料が初期投資+運用コストとして積み上がる
- 特に製造業・医療・金融などでは、一部の端末連携やプリンタ制御などWindows依存の処理をWeb対応に置き換えるコストが非常に高い
❷ 技術キャッチアップの壁
- Webフロント技術(React・Angular・Blazorなど)はライフサイクルが短く、常に学び直しが必要
- 社内に「Webエンジニア」がいないため、既存メンバーでは対応困難
- 外注に頼ると、ベンダーロックや品質依存のリスクが高まる
❸ レガシー資産の壁
- VB6、WinForms、WPFの資産が10年以上にわたって拡張・改修され続けている
- ソースコードが属人化しており、改修に踏み切るとバグの温床になる
- アーキテクチャが抜本的に異なり、Web対応への移行が容易でない
❹ 組織・業務プロセスの壁
- 新しい移行プロジェクトの予算が確保できない
- 既存システムの改修と運用に人材が使われているため、新たな人員確保が難しい
- 既存システムを深く理解している技術者が、Web技術をマスターする余力がない
- Webの有識者が少なく、マイグレーションをけん引できる人材が不足している
一例ですが要因が複合的に絡み合い、結果として“理解はしているが動けない”状態を生んでいます。
3. 案件現場でよくある「Web化プロジェクトのつまずきポイント」
ここでは、実際のプロジェクト現場でよく見られる具体的な課題を紹介します。 これらは、単なる技術論ではなく、移行を試みた企業が実際に直面した現実的な障害です。
| 課題 | 現場でよくある状況 |
|---|---|
| UI移行の複雑さ | WPFのリッチUIをWebで再現できず、画面崩れ・レスポンシブ非対応が発生 |
| コンポーネント依存 | グリッド、チャート、ツリー構造などをWebで再実装するコストが想定以上 |
| データアクセス構造 | ローカルDBやODBC接続を前提とした構造とWeb API化の大きな乖離 |
| アプリ規模 | 規模が大きく、画面数が数百単位に及び、手動変換が現実的でない |
| 品質保証 | レガシーシステムの全機能がWebで動作する保証がない |
| 内部スキル | 非同期通信やコンポーネント構造のWeb技術への理解不足 |
| 経営判断 | ROI(投資対効果)が可視化できず、経営層がGOを出せない |
つまり、多くの企業は「Web化を進めたい」ではなく「どうすれば壊さずにWeb化できるか」を模索しています。
4. デスクトップとWebのアーキテクチャは「似て非なるもの」
Web移行が難しい根本原因のひとつは、アーキテクチャ構造の決定的な違いにあります。
| 比較項目 | デスクトップ(Win/WPF) | Webアプリケーション |
|---|---|---|
| 実行環境 | ローカルPC | ブラウザ(サーバー+クライアント分離) |
| 状態管理 | メモリ内で容易に保持 | ステートレス通信のため管理が複雑 |
| UI描画 | OSの描画エンジン(DirectX等) | 仮想DOM / HTML / CSS に依存 |
| イベント処理 | 同期処理中心 | 非同期通信(Promise, Observableなど) |
| 画面構造 | 単一プロセスで密結合 | コンポーネント分割で疎結合化が必要 |
この構造の違いこそが、「単純な移行」ではなく「再設計」が必要な理由です。
WPF/WinForms開発者にとって、Webフレームワークの世界は一見似ているようでいて、全く異なる設計思想を求められます。 したがって、UI定義やコンポーネント構造を“自動変換”できる環境がなければ、移行は現実的ではありません。
5. App Builder は WPF/WinFormsからWebへの最短ルート
ここで登場するのが、Infragisticsのローコード開発プラットフォーム「App Builder」です。
App Builderは、WPF/WinForms開発者が抱える「Web化の壁」を根本的に解消するために設計されています。
🧭 App Builderとは
- ブラウザ上でUIをドラッグ&ドロップ設計
- React / Angular / Blazor / Web Components のプロダクションコードを自動生成
- Ignite UI の高品質コンポーネントをベースに生成されるため、デザイン崩れが発生しない
- 生成されたコードはGitHubなどで自社資産として管理可能
💡 なぜ「WPF/WinFormsユーザー」に最適なのか?
App Builderで設計するUIは、WPF/WinFormsで慣れ親しんだVisual Studio設計に非常に近い構造を持っています。 ドラッグ&ドロップでUI部品を1ピクセル単位でデザインすることができます。
レイアウト構造・バインディング概念・コンポーネント再利用など、WPF/WinForms経験者にとって自然に理解できる操作体系です。
そのため、“既存開発者のスキルをそのまま活かしてWeb化できる”という点が最大の特徴です。 また、デザインからコードが自動生成されるため、レガシーシステムの担当者にとって魅力的なプラットフォームになっています。
6. 経営視点で見た「App Builder導入のROI効果」
経営層から見ても、App Builder導入は明確な投資対効果を持ちます。
| 評価項目 | 従来のWeb再構築 | App Builder利用時 |
|---|---|---|
| 開発期間 | 約12〜18ヶ月 | 約3〜6ヶ月 |
| UI設計工数 | 高 | 低(AI+テンプレート化) |
| 品質保証 | スクラッチ開発&手動テスト中心 | Ignite UIで事前品質保証のためテスト工数を削減 |
| コスト | プロジェクトごとに変動費 | 固定費で安心のサブスクリプション |
| 技術習得 | 新規フレームワーク学習が必要 | WPF/WinFormsでも移行がスムーズな構造 |
| 維持運用 | 外注・ベンダー依存するため費用増加 | 自社メンバーで運用可能でリーズナブル |
結果として、開発コスト最大70%削減・リリース期間50%短縮という実績が報告されています。
7. 「レガシーからの脱却」は技術ではなく「構造」で決まる
多くの企業が誤解しているのは、「新しい技術を採用すればレガシーから脱却できる」という発想です。実際には、“構造を再設計できる仕組み”がなければ、移行は失敗します。
App Builderは、単なるローコードツールではなく、レガシーシステムをWebへ生まれ変わらせる「新しいプラットフォーム(構造を再設計できる仕組み)」です。
- WPF/WinForms開発者にとっては慣れ親しんだデザインプロセス
- デザインからコード自動生成される機能とUIの品質保証のサポート
- 経営層にとっては固定費で予算計画できる移行戦略の見通しが立つ
これらを同時に満たせるツールは、現時点でApp Builder以外にほとんど存在しません。
8. 関連ブログ
WPF/WinFormsの関連ブログも、併せてご覧ください。
9. まとめ:Web化を「諦めない」ための現実的な選択
日本のWeb化が進まない背景には、構造的・人的・コスト的課題があります。 しかし、App Builderのようなローコードツールを活用すれば、
- 既存人材で
- 品質を落とさず
- コストを抑えて
Web化を実現することが可能です。
👉 いま重要なのは、現場のシステム担当者の手によって「まず1画面からWeb化する」ことで道が開けて行きます。
🧩 まとめ
「Web化は難しい」という常識を、App Builderが変えます。 レガシー資産を活かしながら、未来のWeb開発へ、一歩踏み出しましょう。
無料トライアルのご案内
App Builderは、すべての機能を無料トライアルで体験できます。 WPF/WinFormsユーザーの皆さまにも、きっと“違和感なくWebに踏み出せる”はずです。
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