こんにちは!ソリューションコンサルタントの田上です。
インフラジスティックス製品の「Ignite UI」や「Ultimate」や「Professional」をご利用中の方の中には、バージョンアップをご検討されていても「サブスクリプションの更新(バージョンアップ)」にご不安をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
例えば、下記のようなお悩みはありませんか?
- 現時点のコストを重要視し、開発フェーズの終了時期でサブスクリプションの停止を検討している
- 開発フェーズではない保守フェーズにバージョンアップ計画の予算を割り当てることが難しい
- 初めて利用するサードパーティ製品は最低 1年間使用してみないとサブスク更新の検討が難しい
- ソフトウェア同士の将来的なバージョン互換性は現時点では不透明であることが多く先送りしたい
- サブスクリプションの購入は初めてであり、買い切り製品との違いが良く分かっていない
確かにサブスクリプションの解約は、一時的な経済的利益や安心感をもたらします。しかし、その一方で 3年後~5年後といった将来のバージョンアップが必要になった場合に「システムのアップデートに関連する費用が膨らむ可能性」があります。また、「重要な問題を含むバグ修正を充てられない」ことで「セキュリティリスク」が顕在化する可能性が高くなります。
今回の記事では、なぜ、サブスクリプションを更新(バージョンアップ)する必要性があるのか?について、3つのポイントを解説いたします。
それでは、早速見て行きましょう。
- 1.サブスクリプションの利便性を知る
- 2.サブスクリプション更新の「費用対効果」を知る
- 3.サブスクリプション停止(解約)のデメリットを知る
- 「サブスクリプション継続」と早めの「バージョンアップ計画」を
- インフラジスティックスは一人一人のご意見を真摯に受け取ります
1.サブスクリプションの利便性を知る
まず始めに、これからインフラジスティックスのUIライブラリをご調達予定といったご検討段階である場合に、サブスクリプションがあなたの会社にとってどのような価値があるのか、何が便利になるのか、理解を深めていきましょう。サブスクリプションの価値を知った上で、貴社における必要性をぜひご検討ください。
とてもシンプルな開発者ライセンス(コストメリット)
インフラジスティックスのライセンスは「開発者ライセンス(開発者様 1名 に対して 1ライセンス)」という、とてもシンプルなライセンス体系です。一方で、他社様の有償UIライブラリの場合は「配布ライセンス料金」や「サーバーコア数による課金」や「データ量による従量課金」が発生することも多く、その点から見ても「インフラジスティックスは低コストで導入することが可能」です。
開発者ライセンスとは?(一度でもご購入されると永久に使えるライセンス)
インフラジスティックスの「開発者ライセンス」は過去に一度でもご購入された状態(貴社ご担当者様のライセンス情報が登録された状態)であれば、開発者ライセンスがアサインされます。 後述のサブスクリプションと混在しやすい部分ではありますが、違いとして「定期更新が不要のライセンス」であり、一度登録された開発者ライセンスが無効になることはありません。ご購入時の開発者ライセンスを使って開発することができます。
サブスクリプション更新とは?(有効期間が切れると無効になるサービス期間)
サブスクリプションは「 1年に 1回の定期更新が必要なサービス期間」になります。1年契約の場合は 1年に 1回、2年契約の場合は 2年に 1回、3年契約の場合は 3年に 1回の更新時期になります。サブスクリプション契約終了が近づきますと、弊社から「サブスクリプション更新のご案内」を送付しております。
サブスクリプションを更新しなかった場合は「サブスクリプション停止(無効)」となり、製品ダウンロード(アップデートや最新パッケージ、ご購入したバージョンの製品ダウンロード)、開発者ライセンスの登録者変更サービス、技術サポートサービス(技術的なお問合せ)、のご利用が一切ご利用できなくなります。
サブスクリプション停止時のデメリットについては、本ブログ 3章で詳細を解説しています。
ライセンス利用者登録と変更の仕方について
下記ブログでは、製品ご購入後のライセンス利用者の登録と変更方法について解説しています。
サブスクリプション更新サービスは「車検サービス」と同じです
次にインフラジスティックスの「毎年のサブスクリプション更新は車検サービスと同じ」とイメージしていただくと良いと思います。数年に一度(1年 or 2年 or 3年)のサブスクリプション更新をしていただくことで「契約年数分のリリース内容(脆弱性の防止、技術サポートによる定期点検、重大な問題のバグ修正、最新機能の追加リリース)」をシステムに反映することができます。
このバグ修正にはセキュリティ等の重要な問題である場合や、廃止になっていくコンポーネント、追加となった新しいコンポーネント、時代が進む中で発見された効率的なコーディング等を含んでいる重要なリリースです。サブスクリプションを毎年更新することで、セキュリティを向上させることができます。
また、技術サポートサービスが有効になり、新しいバージョンアップの情報提供やサポートを手厚く受けることができる為、スムーズにシステムを最新化することができます。保守フェーズがスタートする前に「早めのソフトウェアのバージョンアップ計画」を立てておきましょう。その上で、サブスクリプション更新の「費用対効果」を十分にご検討していくことが大切です。
ぜひ、最新のトレンドであるリリースバージョンを貴社システムに反映していただきたいと思います。年間で予定されている サービスリリースノート(リリーススケジュール)と、下記の「製品ごとの最新リリース情報」をご覧ください。
- [Ignite UI for Angular] のアップデートガイド
- [Ignite UI for Blazor] の変更ログ
- [Ignite UI for React] の変更ログ
- [Ignite UI for WebComponents] の変更ログ
- [Ignite UI for jQuery (ASP.NET Core, ASP.NET MVC)] の新機能とリビジョン履歴
- [Ultimate UI for Web Forms] の改訂履歴と重要な問題
- [Ultimate UI for Windows Forms] の変更ログ
- [Ultimate UI for WPF] の変更ログ
「数年に 1回の更新費用(車検代金)」を「高い」と感じるのはなぜ?
サブスクリプション更新費用は、車の例で言うと「車検代金の費用」に該当します。新しい車が納車されたときは「買ってよかった」と思う気持ちと、「毎年の車検時期になると維持費が大変」と思う気持ちにとても似ています。
インフラジスティックス製品を初めてご購入されたときは「過去リリースされた製品が全て含まれた状態」で届きますので、満足感が大きいと思います。一方で、サブスクリプション更新の際は「契約年数分のリリース内容しか含まれていない」ため、サブスクリプション更新費用を「高い」と感じてしまうのではないでしょうか。
上記に関しては、次章以降で解説している「毎年のサブスクリプション更新の費用対効果」を理解することと、「サブスクリプションの停止を決断してしまうことで発生するリスク」について、十分に比較検討した上で意思決定をすることが大切です。
2.サブスクリプション更新の「費用対効果」を知る
それでは、「サブスクリプション更新の費用対効果」を試算する前に「サブスクリプションのサービス内容」について先に整理しておきましょう。
サブスクリプション更新のサービス内容について
まず、インフラジスティックスのサブスクリプション更新(数年に 1回の定期更新)には、大きく 3つのサービスを含んでいます。
(例えば、1年契約の場合)
- ①「🔗1年間の製品のアップデート(最新版)」の提供を受けることができます。この中には、脆弱性への対策、技術サポートによる定期点検、重大な問題のバグ修正、最新機能の追加リリース等が含まれています。サブスクリプションを毎年更新することで常に最新機能と最新のセキュリティの対策を確保することが可能です。
- ②サブスクリプションが有効な 1年間は「🔗技術的なカスタマーサポート」がサービス提供されます。バージョンアップに対して問題や疑問が発生した場合に、迅速かつ効果的な対応を受けることができます。毎年のサブスクリプション更新時期に、ぜひ「早めのソフトウェアのバージョンアップ計画」を立てておきましょう。その上で貴社システムのバージョンアップについて、技術サポート までご相談ください。長年のバージョンアップのナレッジが蓄積されている為、小さなビルドエラーコードからお問合せいただくことを推奨しています。
- ③サブスクリプションが有効な 1年間は「🔗製品の使用許諾」を得ることができます。
サブスクリプションの費用対効果について
では次に、気になる費用対効果を見て行きましょう。
下表の「A費用」は「サブスクリプションを更新した場合の合計金額推移」を 12年間で試算したものです。毎年のサブスクリプション更新を継続していただけた場合は、下表のとおりとなります。
ここでは 6年目と 12年目の合計金額に着目してください。製品バンドルの価格は2024年時点の価格表の金額で試算しています。
1つ目のポイントは、定価の表の 6年目の合計金額が「90万円~150万円」となり、12年目の合計金額が「180万円~300万円」になることが分かります。
2つ目のポイントは、1年目~12年目の各年にバージョンアップ作業を計画し、「毎月 10万円」ずつ費用を試算したものです。保守フェーズの中に「早めのバージョンアップ計画」を盛り込み、サブスクリプション有効期間中にバージョンアップしていくことで「工数削減」を期待できます。
- 毎年のバージョンアップにかかる作業工数は小さくなります
- サブスクリプション有効期間中は技術サポートが得られます
- インフラジスティックスの人的リソースを活用できます
- 貴社内にバージョンアップノウハウが醸成されます
- バージョンアップの工数削減が期待できます
【A費用】サブスクリプションを更新した場合の合計金額推移
【B費用】2年目からサブスクリプションを停止した場合の合計金額推移
一方で、比較対象として「2年目からサブスクリプションを停止した場合」を考えて行きましょう。
下表の「B費用」は、6年目、12年目に将来的な「バージョンアッププロジェクトを立ち上げた場合の費用」を見積試算したものです。
計算をシンプルにするために、
- 2年目、3年目、4年目、5年目は「サブスクリプション停止中」のため「0円」で試算する
- 6年目で「一括バージョンアッププロジェクト」を立ち上げて、1名の開発者で 1カ月で完遂する
- 12年目で「一括バージョンアッププロジェクト」を立ち上げて、1名の開発者で 1カ月で完遂する
と仮定します。
失敗しない「コスト削減案」を立案しましょう
確かに 2年目、3年目、4年目、5年目は「費用を 0円」に節約できたと思いますが、6年目に新規バージョンアッププロジェクトを立ち上げたと仮定すると、そのバージョンアッププロジェクトの費用は「A費用の合計金額」である「更新費 90万円~150万円」+「保守費 60万円以内」-「B費用のサブスクリプション更新費 30万~50万」に抑える必要が発生してきます。そうしなければ、毎年のサブスクリプションを更新した場合よりもコストが上回ってしまう結果になってしまうからです。
12年目も同様で、7年目、8年目、9年目、10年目、11年目は「費用を 0円」に節約できていますが、12年目のバージョンアッププロジェクトに掛けられる費用は、「A費用の合計金額」である「更新費 180万円~300万円」+「保守費 120万円以内」-「B費用のサブスクリプション更新費 45万~75万」に抑える必要が発生します。
ポイントとして、下記のリスクがあると言えるのではないでしょうか。
- 6年~12年分のビルドエラーを 1カ月でQ&A解消できる可能性は低い(技術サポート込みでも)
- 移行期間が延びることが懸念され、延びた場合はプロジェクト費用も増加する
- 一括で大規模なバージョンアッププロジェクトは、変動費が増加するリスクがある
どちらがお得でしょうか?
例として 2つの支払いパターン試算して来ましたが、いかがでしたでしょうか?【A費用】も【B費用】もどちらも同じようにコストが掛かることは間違いありませんが、【A費用】のサブスクリプション更新費用は「固定費(安定的な支出)」であると言えます。一方で【B費用】のバージョンアッププロジェクトを立ち上げた場合の費用は「変動費(費用が膨らむ傾向)」であると言えます。
- 【A費用】固定費 ・・・安定的な支出(予測が立てやすく、費用を調達しやすい)
- 【B費用】変動費 ・・・不安定な支出(予測が立てにくく、様々なリスクを含んでいる為、調達が難しい)
下記のグラフで表すと、いかがでしょうか。
- 【A費用】は固定費が多くかかるが、変動費を抑制することができる
- 【B費用】は固定費を抑制できるが、変動費が増加して費用合計金額が膨らむリスクがある
なぜ、バージョンアップしなければならないの?
サブスクリプションを停止していても「将来的にどこかのタイミングでバージョンアップの必要性」は必ず発生してきます。この理由はシンプルで Microsoft社(Blazor, ASP.NET Web Forms, Windows Forms, WPF) や Google社(Angular)、Facebook社(React) といったリーディングカンパニーのバージョンアップに、日本企業が追従していることが背景にあります。
3年も経てば「何らかの新しいテクノロジー」が登場していると感じたことはありませんか。最近ではAIテクノロジーが登場してきており、3年後にはさらに大きな変化の中にいることが予測されます。セキュリティに関しても「新しい攻撃方法」が流行した場合は、その対策プログラムがリリースされますので、システムをバージョンアップしていく必要性があります。
リーディングカンパニーの「サポート保証期間が切れる」ことも 1つの要因です。Windows OSのバージョン保証、ブラウザのバージョン保証、ソフトウェアのバージョン保証、これらの保証期間が切れるためバージョンアップを検討する必要に迫られます。
また、「開発者人数」や「単価金額」や「人月工数」によって試算は難しくなってしまいますが、確実に予算以内に収まるかどうかといった保証はありません。将来的に「バージョンアップを一切しないシステム」という選択肢を迫られる案件もあるかと思います。
大切なことは、初期投資を掛けて新たに構築したシステムの「本来の目的(システムに求められる稼働年数)」を十分に検討しながら、費用対効果を再検討してみることをオススメいたします。
3.サブスクリプション停止(解約)のデメリットを知る
では最後に、サブスクリプション停止(解約)のデメリットについて理解を深めましょう。安易に「このバージョンまでを買い切り(厳密には買い切り制度ではありません)」で良いと判断してしまうと、下記リスクが発生する場合がありますので要注意です。
サブスクリプション停止(解約)のデメリット
- サブスクリプション有効期間中にご取得いただいたバージョンの製品は、「その後永続的にご利用 (開発、コンパイルや再配布可能なライブラリの配布) 」いただけます。但し、「インストーラーおよびパッケージの再取得・再ダウンロード」はご利用いただけなくなります。
- また、「ご購入時点の開発者(利用者権限)のみご利用可能」です。購入者権限と管理者権限についてはご利用いただくことはできません。
- パッケージフィードにアクセスできない場合に401エラー(権限エラー)や403エラー(アクセス拒否)、500エラー(サーバーエラー)が発生するリスクがあります。
- 「製品利用者の変更手続き」についてもサブスクリプションご契約中のみご利用可能ですので、サブスクリプション契約終了後は承ることができなくなります。「製品利用者を別の開発者へ変更する手続き」は社内でライセンス管理をする上で、とても重要です。例えば、開発者 Aさんに割り当てていたライセンスが、人事異動や退職リスクによって、開発者 Bさんにライセンス権限を変更したい場合があります。このような、ライセンスの担当者変更については、サブスクリプション有効期間中のみご利用可能なサービスでありサブスクリプション契約終了後は承ることができなくなります。
- サブスクリプション有効期間中に「ライセンスのアサインを別担当者へ変更(貸与)」していた場合、サブスクリプション契約終了後は「ご購入時のご担当者様へアサインが初期化」され、変更先(貸与先)のユーザー情報は削除されます。
- 「App Builder 製品」に関しては、サブスクリプション契約終了後はご利用いただけなくなります。
こちらのリンクからご確認ください
技術サポート、動作保証サポートに関するデメリット
- サブスクリプションがアクティブでない製品はサポート期間が終了している製品となり、技術サポートサービスのご提供はありません。🔗アクティブ (有効)、アクティブでない (無効)、リタイア製品のライフサイクルをご覧ください。
- 🔗バグ修正サポートの保証期間は 1年間であり、1年を超えるとバグ修正の依頼や、バグ修正後のリリースがあっても受領ができなくなるリスクがあります。
- 🔗ご質問いただける製品バージョンの期間範囲は 3年間であり、3年を超えるとご質問自体ができなくなります。
「サブスクリプション継続」と早めの「バージョンアップ計画」を
バージョンアップ費用は将来的に必ず発生することが明白になったと思いますが、1つの解決策として毎年のサブスクリプションを継続かつ、サブスクリプションが有効期間中にバージョンアップ計画を立てて実行することをオススメします。
6年目、12年目に一括バージョンアップを計画するアプローチのリスクと、毎年のサブスクリプション有効期間中に次期バージョンアップ計画を早めに立てておき、インフラジスティックスの技術サポートを有効活用していくアプローチを比較してみてください。
技術サポートには過去のバージョンアップに関するQ&Aのノウハウが蓄積されています。貴社システムのバージョンアップについて、貴社のシステム特性や制約条件などがあれば考慮した上で、最大限の技術サポートを提供いたします。ぜひ、貴社をフォローアップさせてください。
インフラジスティックスは一人一人のご意見を真摯に受け取ります
ここまでお読みいただきありがとうございました。今回の記事では、「サブスクリプション更新の3つの必要性」をご紹介しました。
どの企業様におかれましても、UIライブラリに掛けるコストは年々高騰しており、貴重な資源をどこに投資するかはより一層、厳選されていると思います。米国では日本よりも 10年早く時代が進んでおり、「UIライブラリは有償ライブラリを選ぶ時代」が来ていることも確かです。今後の日本のシステムベンダーはますます「どの企業のUIライブラリを選ぶべきか」といった選択肢が、アーキテクチャ設計における大切なポイントとなってきます。
インフラジスティックスでは皆さまからのご意見を真摯に受け止めて、様々な観点からサービスの向上や、導入サポート、製品のご調達に向けた問題解決を行っております。
- 「開発者ライセンスについて、担当者に直接確認したい」
- 「サブスクリプションを継続すべきか停止すべきか、担当者に直接相談したい」
- 「バージョンアップについて、担当者に直接相談したい」
- 「自社プロジェクトにマッチした移行先のフレームワークについて相談したい」
ぜひ、 japansalesgroup@infragistics.com まで、お気軽にお問合せください。お問合せを心よりお待ちしています。