開発ローカル情報とは、インフラジスティックスが日々お客様と対話する中でよく耳にする、開発現場の小さな領域に限定したトピックを掘り下げて共有する特集です。
今回は、2025年10月に日本マイクロソフト株式会社 品川本社にて開催された「Microsoft Tech Briefing: 開発効率を根本から変える ~ App Builder x GitHub Copilotで実現する高速ワークフロー」のイベントレポートをお届けします。 セミナー当日のインフラジスティックスによるSessionはレコーディングも配布していますので、ぜひご覧ください。
まず結論から
- 開発現場では「ユーザー要件の変動」や「短納期化」といった課題が深刻化
- 特にUI開発領域では従来の要件書ベースの開発スタイルの限界が露呈
- 要件定義段階での手戻りを最小化する「MVP(最小実行可能製品)→開発」への開発スタイルの変革が必要
- 要件作成者自身がApp Builder でMVP を直感的に作成することで、要件変動リスクを最小化
- App Builderならデザインから高品質なコードを生成、GitHub リポジトリへ連携
- 生成したコードを基に、開発者が GitHub Copilot の最新機能を活用し、バックエンド開発の効率化を図る手法を実演
以下は、詳細レポートです。とても長いため、YoutubeのURLで提供されるレコーディング全編を取得いただくと、実演デモもご覧いただくことが可能です。
セミナー概要
- 開発生産性向上を目指す開発者、ITアーキテクト、プロジェクトマネージャーを対象とした共同セミナー
- 日本の開発現場における「ユーザー要件の変動」と「短納期化」という深刻な課題に対し、App Builder x GitHub Copilotで実現する新しい開発ワークフローを実演
- 講演者
- 東 賢氏(インフラジスティックス・ジャパン/Senior UI Architect)
- 坂本 純一氏(インフラジスティックス・ジャパン/Microsoft MVP)
- 柳原 伸弥氏(Microsoft Corporation/Developer Productivity Specialist)
Session 1:従来の開発プロセスの限界と超高速開発フローへの変革
開発現場を悩ませる深刻な課題と調査データ
インフラジスティックス・ジャパンは、2025年初頭に開発企業200社*1 を対象に独自調査を実施しました。
この調査によると、システム開発の根本的な課題として、「ユーザーの要件定義がなかなか決まらない」が約30%を占めて最上位に挙げられています。これに「 ユーザーからの要求内容が頻繁に変わる」が続き、要件の流動化が大きな問題となっています。

UI要件定義における言語化の限界
UI開発の分野では、画面構成や操作感が文章だけでは直感的に伝わらず、「見たい、触りたい」という体験を通じてユーザーの要求が進化するという特性があります。言葉でUIの仕様を記述しようとすると、記憶や判断の精度が落ちるという「Verbal Overshadowing(バーバルオーバーシャドーイング)」の概念が紹介され、言語的説明ではニュアンスや精密な関係性が失われやすいことが科学的に裏付けられています。
仕様書をAIに全部突っ込めば皆さんが思った通りのUIが実現できるという風に自信を持って答えられる方いらっしゃいますか?(参加者からの回答ゼロ)ありがとうございます。これが現実なんです。(Session1での講演者・東の発言)
提案された「MVP→開発」へのワークフロー変革
従来の「要件書→実装」プロセスでは、手戻り(「これじゃない」フィードバック)が役割の境界を超えて発生し、時間と費用のコストが増大します。
この課題を解決するため、要件作成者自身がApp BuilderでビジュアルなMVPを直接作成し、要件定義段階でフィードバックループを完結させる「MVP→開発」のプロセスが提案されました。

Session 2:手戻りを起こさない理想的なUI開発プロセス
App Builderの核となる強み:動くコードの自動生成

セッション2では、「これじゃない」という致命的なフィードバックを回避し、要件とデザインの整合性を取るためのApp Builderの具体的な機能が深掘りされました。 App Builderの最大の特長は、単なるデザインツールではなく、デザインからクライアントWebアプリケーションのソースコード(プロジェクト一式)を生成する点にあります。
作ったデザインが絶対にビルドできるソース コードになる。これが大きなメリットとなります(Session2にて講演者・坂本の発言)
これにより、デベロッパーに渡した後に「実装は無理」「工数が何倍」といった手戻りが発生するリスクが解消されます。
AI支援と高機能コンポーネントによる高速UI構築
App BuilderのAI支援機能は、言語化の限界を克服する手段として紹介されました。
要件作成者がホワイトボードなどに書いたスケッチ画像(ラフ画)をアップロードすると、AIがそれを元に高精度のUIデザインを生成します。これは、テキストプロンプトで起こりがちな情報結落を防ぎ、視覚情報としてAIに伝えることで高い精度を実現します。
さらに、AIはプロジェクト内の他の画面のデザイン(デザインシステム)も参照し、統一感の取れたUIを作成するため、バラバラなデザインが生成されることがありません。また、高機能なIgnite UIコンポーネント(グリッド、チャートなど)が用意されており、要件作成者がこれらのコンポーネントを組み合わせて複雑なBIレポート的な画面も容易に作成可能です。
フィードバックサイクルの高速化とGit連携
MVP作成の段階で、データ連携の知識がなくても、テキストプロンプトからダミーデータを自動生成し、画面にバインドすることが可能です。これにより、実際に選べるデータで画面の動作を確認でき、リアリティのあるフィードバックが得られます。 完成したMVPは、App BuilderからGitHubリポジトリへワンクリックでプッシュできます。
また、App Builderには以下の機能があり、関係者間の合意形成をサポートします。
- プレビュー表示のURL共有: リンクを知る関係者へ瞬時に画面を共有し、オンラインミーティング中でも実際の動作を確認しながら議論できる
- 対象デバイスの切り替え: PC、タブレット、スマホなど、各デバイスでの表示を簡単に確認でき、レスポンシブデザインの検証を初期段階で行える
まとめ:AI時代の開発を変える「今すぐできる」実践的解決策
UIデザインと実装の分断を解消し、要件変動リスクを最小化する「MVP→開発」による超高速ワークフローは、未来の理想論ではなく、今日からでも導入できる現実的な解決策です。
AIコーディング支援(GitHub Copilot)がロジック実装を加速する一方で、UIデザインと要件の曖昧さが手戻りの最大の原因である現状において、App Builderは、要件定義フェーズの質を高め、デベロッパーが集中して価値の高い実装に取り組める環境を提供します。この新しい開発アプローチの導入が、皆様のプロジェクトにおける開発効率を根本から変える鍵となるでしょう。
本セミナーの動画はこちらからご覧いただけますので、ぜひご覧ください。
本セミナーでご紹介したツール・資料
本セミナーでご紹介したApp Builderは、2週間の無料トライアルがございますので、ご興味をお持ちの方はぜひお試しください。 my.appbuilder.dev
*1:この開発企業200社調査結果のレポートも無料で公開しております。ご興味のある方は、こちらから資料ダウンロードをお申し込みください。jp.infragistics.com
