マイクロマネジメントを行う上司に日々の仕事を逐一コントロールされることほど、やる気を削がれることはありません。トリニティ・ソリューションズ社が実施したマイクロマネジメントに関する調査(My way or the highway - The micro management survival guide) によると以下のことが明らかになっています。
- 79%がマイクロマネジメントの経験あり
- 69%がマイクロマネジメントを理由に転職を検討
- 36%がマイクロマネジメントを理由に実際に転職
- 71%がマイクロマネジメントで仕事のパフォーマンスに支障が出た
- 85%がマイクロマネジメントで士気が低下
マイクロマネジメントを受けたことがありますか?または現在受けていますか?あなた自身がマイクロマネジメントの上司になる可能性はありそうですか?
この記事では、マイクロマネジメントとは何か、なぜ人はマイクロマネジメントをするのか、マイクロマネジメントの兆候とは何か、マイクロマネジメントをしてくる上司への対処方法、さらにマネージャーの立場からマイクロマネジメントを行わない方法について詳しく説明します。
この記事の原文は以下よりご確認いただけます。
Bilyana Petrova 2021.6.11 [ What Is Micromanagement and How to Deal with it?](https://www.slingshotapp.io/blog/what-is-micromanagement)
- マイクロマネージメントとは何か?
- 人はなぜマイクロマネジメントをするのか?
- マイクロマネジメントの兆候
- マイクロマネジメントをする上司への対処方法
- マイクロマネージャーではなく、リーダーであれ
- マイクロマネジメントをOKRに置き換えるには
マイクロマネージメントとは何か?
マイクロマネジメントとは、1つのマネジメントスタイルを表す言葉で、通常否定的な意味で使われます。Gartner社によって定義されているマイクロマネジメントとは、従業員の仕事やプロセスを過度に監督・管理し、従業員へのタスクや意思決定を限定的とする管理者の行動パターンです。マイクロマネージャーは一般的に、意思決定権を従業員に与えることを避け、情報共有に過度にこだわります。
人はなぜマイクロマネジメントをするのか?
はっきりこれという答えはありません。人々はさまざまな理由でマイクロマネジメントを行います。考えられる理由として、失敗を恐れる、支配欲が強い、マネジメントの経験が浅い、不安、チームメンバーが未熟、不健全なエゴなど、さまざまです。中には、家庭や私生活で抱えている問題が原因の場合もあります。ただ、ほとんどのマイクロマネージャーに共通して見られるのは一緒に働く人々への信頼と尊敬の念の欠如です。
マイクロマネジメントの兆候
自分がマイクロマネジメントされているのか、実は自分自身がマイクロマネージャーなのか。マイクロマネージャーか否かを判断する一般的な特徴をご紹介します。
1.マイクロマネージャーは仕事を他の人に委ねない
マイクロマネージャーは、自分以外の人が仕事ができると思っていないため、仕事を任せることを避け、すべて自分で行います。もちろんそれでうまくいくことはありません。マイクロマネージャーはスーパーヒーローではないので、現実を見て、専門技能もしくは望ましい資格を持つ人に仕事を任せるべき(How to Build sccessful teams that produce extraordinary results)だということに気づく必要があります。
2.マイクロマネージャーは従業員の仕事に過度に関与する
常に部下の一挙手一投足を見守り、逐一チェックすることは効率的ではありません。多くの人は、常に監視されていると身動きが取れず、不快感やストレスを感じ、ミスにつながることもあります。
3.マイクロマネージャーは頻繁に状況報告を要求する
週に一度のチェックインと、適度な頻度での状況報告は必要です。しかし、毎日のように状況の共有を求められている場合、自分がマイクロマネジメントされているか、あるいは自分自身がマイクロマネジメントする上司になっていると考えて間違いないでしょう。このように、常に状況報告を求めると、従業員がやるべきことに集中するよりも、詳細なレポートを作成することに無駄な時間を費やすことになるのです。
4.マイクロマネージャーはすべてのメールにCCをつけたがる
「そのメールには必ず私の名前も入れてください」この言葉に聞き覚えはありませんか?もしそうなら、これはあなたがマイクロマネジメントされているか、あなた自身がマイクロマネージャーであることを示す明確なサインです。このように、あらゆるコミュニケーションを常に把握することを求めるのは、自身が蚊帳の外に置かれることを恐れているか、他の人が自分の知らないところで議論や意思決定をしているのではと勘ぐっていることを表しています。
5.マイクロマネージャーは常に不平を言い、決して満足しない
マイクロマネージャーは、何も不満がなくても文句を言います。それはいつも他人のミスや欠点を探しているのでそればかりが目についているということなのです。こうした不満は、仕事に関係のない些細なことであることも少なくありません。通常、マイクロマネージャーは、このような言動が部下を奨励していると考えていますが、実際には従業員のやる気を奪っているだけなのです。
6.マイクロマネージャーは創造性やイニシアチブを発揮する余地を与えず、自主的な意思決定を阻害する
マイクロマネージャーは、自分の仕事を他人に任せることができないため、創造性やイニシアチブを発揮する余地を与えず、何をすべきかを従業員に指示します。特に、クリエイティブな仕事をしている人が、仕事のあり方を常に指示されると、非常にフラストレーションが溜まり、やる気をなくしてしまうでしょう。また、マイクロマネージャーは従業員に自主的な意思決定の自由(Data-driven decision making: the roadmap to success)を与えたがりません。あなたの仕事は、何らかの形で承認プロセスを経なければなりませんが、だからといって、仕事の過程において何らかの決断をしてはいけないということではありません。あなたが採用されたのは、あなたがその仕事に最も適した人物だからであり、あなたの専門知識に基づく決断がビジネスの成長を促進する可能性があるからです。
スティーブ・ジョブズは、''賢い人を雇って何をすべきかを指示するのは意味がない、賢い人を雇うからこそ、彼らが何をすべきかを教えてくれる''と言っています。
7.マイクロマネージャーは技術や知識を伝えない
マネージャーは、仕事を始めたばかりの従業員にとってロールモデルとなり得ます。しかし、その上司が教えることに全く興味を示さないとしたら、部下はがっかりするだけでなく、非常に落胆し、やる気を失うことでしょう。上司から何も学べず、不満ばかりを聞いていたら、あきらめるか、最悪の場合マイクロマネージャーになってしまうこともありえます。
マイクロマネジメントをする上司への対処方法
マイクロマネジメントをされ、絶望とストレスに満ちた状態で会社に通い、怒鳴られるのは誰だって嫌なものです。マイクロマネジメントに対処する最初のステップは、マイクロマネージャーの行動の背後にある理由を理解することです。
1.マイクロマネージャーの行動の背景を理解する
すでに述べたように、人がマイクロマネジメントを行うのには、さまざまな理由があります。マイクロマネジメントをする上司にどのように対処すればよいかを知るには、まず、上司の行動の引き金となるものを理解する必要があります。
上司はストレスが溜まっているのかもしれませんし、以前に社員との間で信頼関係に問題があったのかもしれません。もしくは単に彼の性格によるものなのかもしれません。次のステップに進むためには、それらを知ることが必要です。そうすれば、上司があなたやチームメイトに対してそのような行動を取る理由が何であれ、信頼を築き、克服する手助けをすることができるでしょう。
2.信頼関係を築く
恋愛、友人、仕事など、健全な人間関係を築くには信頼関係が重要です。信頼関係がなければ、ただの時間の無駄です。上司の細かい管理を望まないなら、上司の信頼を勝ち取り、あなたに安心して仕事を任せることができ、意思決定の自由を与えることができることを示す必要があります。言うは易く行うは難しですが、信頼は築くのが難しく、失うのは簡単なものです。上司に信頼されるには、優れた仕事をし(提出前に必ずダブルチェック、トリプルチェックする)、定期的に進捗状況を伝える(上司からの指示を待つのではなく、自ら責任を持つ)ことが大切です。個人的な関係を築くことも、職場での信頼を構築する場合があります。
3.気持ちを共有し、議論を始める
支配的な上司に対処する最も直接的な方法のひとつは、自分の気持ちを伝え、その状況について話し合いを始めることです。上司の威圧的な態度が、あなたの業績や仕事の流れに悪影響を与えていることを、正直に、丁寧に、そして冷静に説明しましょう。怒りに支配されたり、保身に走ったりすることは、状況の改善につながりません
4.健全な線引きと現実的な期待の設定
可能であれば健全な線引きと実際に期待していることについて話し合ってみましょう。あなたと上司の役割と責任、そして期待値について明確にし、仕事の過程で誤解が生じないようにしましょう。境界線も必ず設定し、上司がそれを越えているときは知らせるようにしましょう。踏み込んだ会話をしていくことは最初は怖いかもしれません。しかし考えが伝わり、教訓が得られれば、仕事場で奇跡が起こるかもしれません。
5.コミュニケーションと双方向のフィードバックを継続すること
さて、上司の行動の背後にある原因を理解し、自分の感情を共有し、状況を話し合い、信頼関係の構築に向けて努力したのは大きな進歩です。しかし、これで終わりではありません。これは継続的なプロセスであり、一夜にして物事や事態を変えることはできません。元の状態に戻らないよう、常にコミュニケーションを取り、双方向のフィードバックを続ける必要があります。積極的に行動し続け、上司があなたのアウトプットに満足しているかどうかを確認しましょう。
マイクロマネージャーではなく、リーダーであれ
もしあなたがこの記事を読み始めたきっかけが、自分自身がマイクロマネジメントをする上司かもしれないと考えたからだとしたら、もうこの答えは出ているはずです。マイクロマネジメントをやめるのは簡単ではないかもしれませんが、適切な指導を受ければ、やめることは可能です。
これらのヒントに従い、努力することで時間をかけずに克服できるかもしれません。
1.完璧主義を捨てる
「完璧は存在しない」。そのことに気づけば、マイクロマネジメントをしないようにすることはとても簡単です。タスクやプロジェクトを遂行する方法 (5 tips for how to manage your tasks in Slingshot)は様々です。あなたが完璧だと思う方法を強いるのではなく、新しいアプローチやアイデアを試してみるようにチームに伝えて、やる気を与えてください。
2.仕事を任せる
マネージャーとして、チームメンバーの強みを把握し、それに応じて仕事を任せることが必要です。もし、効率的に仕事を任せることができない他の理由があるのであれば、チームのやることすべてをマイクロマネジメントすることも必要です。最初のうちは失敗することもあるかもしれません。ただ実践は困難を伴いますが、認識の本質でもあります。そのことは覚えておいてください。
3.失敗を受け入れる
どんなに辛くても、物事が計画通りに進まなくても、世界は止まりません。失敗は成功のプロセスであり、最高の師となり得るのです。失敗を恐れず、歓迎し、そのことでチームを責めたり怒鳴ったりするのではなく、彼らにも失敗を受け入れることを教えてあげてください。
4.自分の役割と責任に集中する
マネージャーとしての仕事には、それなりの責任が伴います。特定のタスクを成功させられるのは自分だけだと考えて、従業員のワークフローのすべてのステップをマイクロマネジメントするのではなく、従業員にスキルを証明する機会を与え、マネージャーとして自分だけができる業務に集中しましょう。あなたの仕事は、明確な目標とベンチマークを設定し、パフォーマンスを測定することです。
5.フィードバックを求め、チームと対話する
チームと強い関係を築きたいのであれば、自分のマネジメントスタイルについて恐れずに意見を求めましょう。チームの一人ひとりにフィードバックを求め、どのように管理されたいかを聞いてみましょう。もしかしたら、現在のマイクロマネジメントスタイルを好む人もいれば、もっと自由を求める人もいるかもしれません。チームが何を望んでいるかを理解し、そのニーズに合わせて調整するのです。
マイクロマネジメントをOKRに置き換えるには
マイクロマネージャーは通常、従業員や仕事全般に対して誠意を持っています。問題は、彼らの行動がチームのパフォーマンスや生産性に大きく影響を与え、その行動如何では人々が健康を損なう可能性もあるということです。だからこそ、マイクロマネジメントの環境では、物事を変えていかなければならないのです。
OKR(Objectives and Key Result: 目標と主な成果)は、測定可能な結果を伴う目標を設定するために使用される管理手法です。そして、それは紙の上でもできますが、通常は専用のOKRソフトウェアを用いて行われます。
OKRソフトウェアは、マネージャーとチームメンバーに作業プロセス全体を可視化させ、日常の作業からプロジェクトの最も重要な目標へと結びつけます。こうすることで、マネージャーは管理する時間を減らし、リードする時間をより多く持つことができるのです。
Slingshotは、豊富な統合機能によってワークフローの効率を向上させ、その時々に応じてチームを調整し、潜在能力を最大限に発揮するよう促し、高度な分析によってデータに基づくスマートな意思決定を可能にすることで、チームや組織が並外れた成果を生み出すことを支援するために設計された生産性ツールです。
ここでは、Slingshotがマイクロマネジメントに対処する方法をいくつか紹介します。
- 誰が何をしているか、重要な期日、チームの目標や指標など、すべてが見える風通しのよい職場環境を作り、チームと個人のアカウンタビリティを推進します。
- 同じビュー、タスク、コンテンツを一か所で全員がコラボレーションできるページを提供しています。
- マネージャーは、Slingshotでチームの現状報告のためのミーティングの時間を減らすことができ、メンターとして、主体的にビジネスを考える時間を増やすことができるようになります。
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