開発ローカル情報とは、インフラジスティックスが日々お客様と対話する中でよく耳にする、開発現場の小さな領域に限定したトピックを掘り下げて共有する特集です。
情報システム開発の現場では、「要件が頻繁に変わる」「納期が短い」「人材が足りない」といった課題が日常的に発生しています。これらの課題は、どの開発会社にとっても頭の痛い問題ではないでしょうか。
6月は、現場が直面している課題の実態について、インフラジスティックスが独自に実施した調査結果*1をもとにご紹介します。また、この調査データに関する解説ウェビナーの予定があります。詳しくは記事の最後からご覧ください。
ユーザー要件の変動が最大の課題
調査結果によると、情報システム開発/構築における最も大きな課題が「ユーザー要件の変動」で、約3割の企業がこの問題を抱えています。
具体的な課題として以下が挙げられています:
- ユーザーからの要件定義がなかなか決まらない(29.5%)
- ユーザーの要求内容が頻繁に変わる(29.0%)
- ユーザーから求められる納期が短くなっている(23.5%)
一方で、大企業において進みつつある「システム開発の内製化」動きについて課題と感じる割合は5%程度に留まっており、懸念している企業は少ないという結果でした。
開発に従事する企業は、変動しやすいユーザー要件を満たしつつ、短納期でシステム開発を行う役割が求められ続けています。
人材不足と育成も継続課題
また、人材に関する課題もやはり継続課題として浮き彫りになりました。特に以下の3つの領域で人材不足が深刻化しています:
- システム全体を俯瞰できる人材が足りない(26.5%)
- プログラミング作業を担う人材の技術力が不足している(23.0%)
- UI設計のスキルを持つ人材を育成したり、育てることが難しい(21.0%)
現代的な課題への対応は意外に少ない
興味深いことに、以下のような現代的な課題については、課題と感じている企業の割合は意外に低いことが判明しました:
- 開発ツールや開発基盤において、特定ベンダーに依存している(12.0%)
- セキュリティ対策を踏まえたプログラミングが実践できない(11.0%)
- テレワークによって開発者同士の意思疎通が減っている(8.5%)
これは、多くの企業がまず基本的な人材確保と育成に注力しており、より高度な課題への対応は後回しになっている実態を示しています。
企業における人材不足は、引き続き業種を問わない課題です。
人材不足はプログラミングだけに限らない
留意しておきたいのは、人材に関する課題が単なるプログラミング作業の担い手だけではなく、「システム全体の俯瞰」や「UI設計」といった役割に及んでいることです。
全体を俯瞰して設計ができる、またはUI設計について専門的な知見を持つ人材を採用コストは高騰しています。社内で育成するには長い時間を要します。このような人材課題への対応策としては、開発支援ツールの有効活用が鍵となるでしょう。
解説対談ウェビナーのご案内
今回ご紹介した調査結果についての詳細解説と、現場の課題解決に向けた実践的なアプローチをご紹介するオンラインイベントを開催します。この記事で解説している開発企業側のデータだけでなく、ユーザー企業側のデータについても解説します。
当日は、ユーザ企業のIT活用調査に定評のあるノークリサーチ社 岩上氏をゲストに迎えます。国内のISV/SIer 200社とユーザ企業 1300社の調査データを交えながら徹底対談。
レコーディングとイベントレポート(PDF)の配布もありますので、リアルタイムでご都合が合わない方もぜひお申し込みください。
*1:
項目 | 内容 |
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調査対象 | 日本国内の情報システム開発に関わる会社 |
有効回答件数 | 200社 |
調査方法 | オンラインでのアンケート調査 |
実施時期 | 2025年3月 |